ページトップへ

丸吉優眠館 - 店長ブログ

“目覚めや眠りを失った人々”を読んで

DSC_1303

今週読んだ本です。今までとはちょっと趣向が違い精神論的な内容です。かつ、“眠り”というより人間の加齢による最終状態をどのように認識し、自我、人としての尊厳、生きていることの価値とは何かという話です。精神論ですので著者の方の考えが中心で参考程度の内容です。

人の意識は覚醒時の有意識領域、睡眠時の無意識領域、そしてその間でどちらでもない混合領域の3つから成り立っています。これら3つの領域はきっちり分けられるのでは無く、有意識領域の中でも仕事や勉強など意識がはっきりしている部分と少しリラックスして意識がやんわりしている部分、そして眠りに入る直前のような意識が限り無く薄くなる部分というように無段階に広がっており、同じように無意識領域もうたた寝のような浅い睡眠時の無意識部分やノンレム睡眠時の非常に深い睡眠時の無意識部分といった具合にこちらも無段階の広がりがあります。かつその間の混合領域も、有意識領域に近い部分と無意識領域に近い部分があり、それは無段階に広がっているので有意識領域から混合領域、無意識領域までは無段階つながりがあります。

人間や動物は基本的に誕生と同時に加齢現象がはじまります。成長によって子供の知識が豊富になり体力が増強するのも、逆に加齢により物忘れが起き体力が衰えるのもすべてが生理的な変化です。最終的には新生児、胎児レベルになり誰でも母親の胎内から出発して再び胎内に戻るのです。このように機能が頂点に達した後衰退にすすむプロセスを「類退行現象」と呼び、一般的には「子どもがえり現象」と呼ばれます。這う、立つ、歩く、走るという順序で発達し頂点に達したところから今度は走る機能が退化、立つ機能が退化し最後は這うことすらできなくなります。一般的にこれら機能は発達に要する年数よりも衰えに要する年数のほうが長くなります。これら機能と同じように理性と感情も発達と退化がありますが、感情は発達が早く退化が遅いのに対して、理性は発達が遅く退化が早いです。子供の思考は感情優位で成人して理性が発達することで感情を抑え社会を形成します。そして加齢により理性が先に退化するためお年寄りの思考は子供と同じように感情優位になります。

先に説明した意識の領域は、思考活性に連動する心の働きの強弱で分けられ、思考が活性し心の働きが強ければ覚醒時の有意識領域の強い部分、弱ければ同じ有意識領域の弱い部分になります。思考活性が低下し連動している心の働きが弱まって眠りに入ると、覚醒時思考は睡眠時思考に移行します。そして同じように意識のない睡眠時も思考が強ければ無意識領域の強い部分である非常に深い眠りになり、弱ければすぐに無意識領域の弱い部分のすぐに目覚める浅い眠りになります。もしこの思考が消失してしまうと、連動している心の働きも消えてしまうので脳死状態となります。人は目覚めていても眠っていても生きている限り思考が消えることはありません。そしてこの思考は社会生活で生きている中では、周りの環境やコミュニケーション、時間やストレスなどで常に働いていますが、リタイヤし環境の変化やコミュニケーションの減少、時間のメリハリやストレスの減少により思考は弱まってきます。また子どもがえり現象により体力や気力の低下が思考の低下を招き始めます。この思考の低下が心の働きの低下を招き、有意識領域の強い部分を消滅させ、これと相対する無意識領域の強い部分も消滅させます。このようになると有意識、無意識領域の強い部分が無いため、少し意識の薄い状態になり、さらに思考が低下すると有意識、無意識の弱い部分が共に消滅し、混合領域だけになってしまいます。混合領域だけになると起きて覚醒しているのか眠っているのか自分自身意識が無いので寝たきり状態になります。高齢になり1日をベッドで過ごしている方全員がこの混合領域だけになった状態です。このような状態では本人自身の意識が無いので、経口摂取による栄養の補給ができず、経管栄養補給か胃ろうによる補給となり排泄もおむつなどに頼ります。言い方は悪いですが生かされている状態です。ではこの状態を良しとするかどうかは本人は意識が無いのでわかりませんが、過去にその方と関わりのある家族や兄弟などによって変わってきます。ただ生きているだけ、でもその価値はその方とかかわった方々によって変わってくるものです。末期医療、延命処置など特に加齢による方を考える場合は、本人の意思も大事ですがその方とかかわった方々の考えも考慮に入れ熟考する形になります。


2014年06月15日



             
丸吉オリジナルまくら ローズテクニー 丸吉オリジナル眠具

〒192-0053
八王子市八幡町11-1
TEL:042-625-1155
営業時間:10:00〜19:00
定休日:水曜日