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丸吉優眠館 - 店長ブログ

“眠りと体内時計を科学する”を読んで

DSC_1332今週読んだ本です。時計遺伝子研究の第一人者、大塚教授が著者です。睡眠環境診断士の講習の中で一度講義を受けました。地球上の生命体はバクテリアから深海魚に至るまで、皆体内時計を持っています。地球が約46億年前に誕生し38億年前に生命が生まれたとすると、この地球上で生き延びていくために30億年以上の歳月をかけて獲得した生理機能が時計遺伝子を核とする生体リズムであったと考えられます。そしてこの生物時計を獲得し得なかった生命体は滅亡してしまったはずです。人間の時計遺伝子は現在Per1、Per2、Cry1、Cry2、Clock、Bmal1の6種類が確認されています。Bmal1とClockは共同でPerとCry遺伝子から時計タンパクを作ります。時計遺伝子から時計タンパクが生まれる化学反応を転写といいますが、作られた時計タンパクが十分量になるとこの化学反応は抑制されます。(これをネガティブフィードバックと呼びます)出来上がった時計タンパク自身が細胞核に入り込み転写を抑制するのです。このネガティブフィードバックの仕組み全体を「コアループ」といいますが、この一連の周期が約24時間なのです。つまりこの周期からサーカディアンリズムが作り出されていたのです。さらにコアループの仕組みが壊れないように、コアループを保護するいくつもの補助的なループがあることがわかってきました。この補助ループに関連する核内受容体分子は、脂質の代謝や産生、血管の炎症調節などの機能の元締めで、時計が狂うとリズムが無くなるだけでなく、肥満や糖尿病、がんになるリスクが高まる理由がここにありました。時計遺伝子群は脳だけでなく、肝臓、腎臓、心臓、血管など身体のほとんどの細胞に存在することが明らかにされています。体内時計は体全体から臓器へ、そして細胞に至るまで、一体となってサーカディアンリズムを構築していたのです。人では数十兆の大部分の細胞で、コアループが回っていたのです。脳のコアループが親ループですが、心臓などのさまざまな臓器、そして皮膚、粘膜に至るまでほどんどの末梢組織に存在する時計が子ループです。子ループは親ループと連動しつつも各々が独立してループを刻んでいます。このように時計遺伝子は多重の階層構造を作りサーカディアンリズムを刻んでいるのです。緑藻から高等植物、ハエ、哺乳類、人まですべての生物に備わっているCryには紫外線でDNAが損傷を受けると光回復酵素を用いて修復する機能があります。30数億年前の大気の薄い地球環境の中で紫外線の害から身を守ることは死活問題でしたから、光回復酵素の働きを持つCryを時計遺伝子として採用したことは生物の適応の証です。しかしながら光回復酵素の機能は緑藻などの藻類、ショウジョウバエ、蚊などの昆虫に保存されているだけでそれ以外の生物には残っていません。進化の過程でマウスや人などの哺乳動物のCryにはもう光を感受する性質は無くなってしまいました。人では代わりに網膜にあるメラノプシンという物質がその役目になっていて、この細胞が光を感受し体内時計の調節をしています。ちなみに蚊、蝶、蜂などの昆虫にはこの機能が両方保存されています。

私たちはこれらのリズムを持つ体内時計をどのようにして身につけたのでしょうか?現在では宇宙のリズムをコピーしたとの考えが定説になっています。地球の自転のリズムや月の満ち欠けに伴う潮汐リズムが刻印されています。これが24時間と12時間のリズムにあたります。太陽の周りをめぐる公転周期は約1年の体内リズムとして獲得しているようです。これらのリズムを30億年以上かけて生命の中にコピーし今でも宇宙からのシグナルに呼応しつつ生命の仕組みを整えています。さらに地球は100年あたりで1.4ミリ秒のペースで1日が長くなっています。10億年前に多細胞生物が現れた時は1日約20時間でカンブリア紀と呼ばれる海中から陸上へ進出し生命が爆発的に多様化した5億5千年前は21時間といわれています。その為人は遅くなる自転に適応し生体リズムを保持するために1時間の“のりしろ”を持つと考えられています。朝光を浴びることで生物時計の針を地球に自転に合わせるという仕組みを遺伝子の中に組みこんだのです。以上のようにこの宇宙の中の地球で生きていくために我々の身体は変化してきました。普段、規則正しく生活することの大切さが解った気がします。


2014年07月18日



             
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