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丸吉優眠館 - 店長ブログ

“睡眠学”を読んで

DSC_1281今週読んだ本です。3週にわたって不眠症の内容で、さらに次に読むのも不眠症の本ですのでここではその中で小児科疾患について説明します。

本来、小児科医は“general physician“として多岐にわたる睡眠障害の訴えを最初に耳にする立場にあります。アメリカでは1990年に70%を超える医学校で睡眠に関する教育が行われ、1993年には”Wake up America“という睡眠啓発のキャンペーンが開始されました。2001年の小児科医に対するアンケートで睡眠障害が影響を与える領域として学業成績、気分・行動、家族のストレスに対しては90%、健康全般では80%、さらに外相では50%が睡眠障害と関連があると感じているにもかかわらず、睡眠に関する知識についての質問への平均正答率は60%で23.5%の小児科医の正答は半分以下でした。また、睡眠に問題のある子どもをスクリーニングする能力に自身のある小児科医は46%、睡眠障害を評価する能力についての自信を持っているのは34.2%、睡眠障害を完療する能力に自信がある小児科医は25.3%というものでした。この結果から、睡眠に関する知識とそれを臨床に還元する能力との間にギャップが指摘され、生涯教育の重要性が提言されました。

一方、我が国では小児科学会会員中、小児疾患・睡眠発達を専門とする会員は約0.2%しかいないにも関わらず、乳幼児健診や電話による育児相談では睡眠に関するものが常に上位にランクされている事実があります。従来の育児は経験則に委ねられてきましたが、近年急速に進行している社会の24時間化は、人類がこれまでに経験したことのない生活環境であり、加えて少子核家族化が進行している現状では、これまでの経験則では対応困難な育児不安をもたらしています。そしてこの不安の中で睡眠に関する悩みは相当な割合を占めるようになってきました。乳幼児突然死症候群(SIDS)の社会的関心の高まりに対してその理解は必ずしも正しいといえず、睡眠呼吸障害の有病率は小児でも1~3%ある事実を把握している小児科医は少ないのが現状です。その為日本小児科医全体で小児の睡眠障害に関するアンケート調査や情報交換を行い、現状把握と問題意識の向上を図るべきです。一方育児支援の中で母子保健活動を通して睡眠障害に関する情報提供、勉強会、個別相談を充実していくことが大切です。このような形で養育者側にあらかじめ健康教育による知識が供給されていれば、少子核家族の状況にあっても育児不安は最小限に抑えられ、近年の聞くに堪えない幼児虐待も未然に防ぐことができるかもしれません。

睡眠障害による発達障害はそれが原因と解らず、ただの原因不明の発達障害と認識されなす術がない状況もあります。事実、アデノイド(扁桃肥大)による乳児の睡眠時無呼吸症候群はその原因が解らず、養育者の悩みはいかんともしがたいものでしたが、咽頭扁桃削除の手術後は睡眠が正しく確保されみるみる他の子どもと同じように発育成長した事例が多くあります。子供の睡眠障害はその潜在能力を埋没させる形で、子供たちの心身の発育・発達に影響を与えます。この意味からも睡眠障害の改善は将来の優秀な人的資源をはぐくむことにもなり、その経済効果は計り知れません。


2014年05月27日



             
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