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丸吉優眠館 - 店長ブログ

“睡眠のメカニズム”を読んで

DSC_0002今週読んだ本です。非常に難しい内容でした。

睡眠の定義を下すことは、全容が解明されていない為非常に困難です。しかし、レム睡眠の発見者であるナサニエル・クライトマン教授は「睡眠は通常、健康な成人の一般的な活動様式である覚醒状態の一時的な停止または中断とみなされる。睡眠の特徴は、一般感覚と反射の閾値の増大によって特徴づけられる感覚運動性活動の停止で、この活動の停止は外部の条件によるものでなく、内部の必要によるもので、これが環境の影響から生ずる植物および動物の一時的な不活動状態から睡眠を区別するものである。さらに睡眠は、覚醒しうる能力を保有していることで、他の多くの睡眠様状態、たとえば昏睡または麻酔などからそれを区別しうるものである」と述べています。

前世期の終わりに嗜眠性脳炎の病理学的研究からエコノモ教授は睡眠調節中枢を視床腹部と中脳との意向領域に求め、この中枢は睡眠部位と覚醒部位との拮抗的あるいは相互に均衡を保つことで睡眠と覚醒のサイクルが成り立つと想定しました。また他の例で、大脳は無いが視床以下を有する奇形児についての観察で、このような患者でも睡眠と覚醒の時期が交代して起こることが報告され、睡眠が主として視床によって調節されていることが強調されました。すなわち、睡眠は多くの機能の集積からなっており、筋緊張、脈拍、血圧、呼吸が変化し、瞳孔や眼球も一定の態度をとり、交感神経機能、血管運動、発汗も変化して意識が一定の様式で消失していき、最後にすべての大脳活動が中絶するというように、全体が合目的的な秩序に従って変化していく、このような機能を果たしうるところ、感覚伝達の中断を総体として、しかも瞬間的に起こしうるところとして視床が考えられました。以降いろいろな研究者がさまざまな実験を行った結果、電気刺激によって脳波の同期化が起こされる場所は吻側部側から、視索前野、視床非特殊核、中脳網様体、延髄の弧束核周辺となり、逆に脱同期化が生ずる部位は、視床下部後部及び中脳後端から橋にかけての網様体であることが解りました。しかし、これらの神経生理学的な刺激実験では、一時的な覚醒、ノンレム睡眠並びにレム睡眠の発現や消失を証明できるとしても、いわゆる生物リズムともいうべき、周期的に繰り返す睡眠・覚醒のリズムを証明することは難しい。このような生物リズムを刻む体内時計の一つが視床下部の視交叉上核であることから、上述の睡眠の中枢として視床を結論付けたことはあながち間違ってはいないことになります。

しかし、睡眠の調節に関してジュベー教授は、短い時間単位を扱う電気生理学を主とした「乾いた」神経生理学だけでなく、液性伝達などを扱う「湿った」神経生理学の両方面の研究必要だと唱えています。ジェベー教授は睡眠の液性調節としてモノアミン説を唱えましたが、当時は多くの反論を叫ばれました。最近では睡眠の発現・維持には単に神経伝達物質だけでなく、ポリペプチドなどからなる睡眠物質の関与が認められ数十種類にも及ぶ睡眠物質が発見、定理されています。

古代から命脈を保ってきた睡眠の体液学説は1960~70年にかけてヨーロッパ、アメリカ、日本で大きな成果が生まれました。ヨーロッパではじめてデルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)が単離され、アメリカではムラミルペプチド、日本ではウリジンと酸化型グルタチオンが同じく単離され、これにより睡眠の液性学説の正しさが証明され、現在では多くの睡眠物質が単離されています。また単一の物質が睡眠・覚醒を惹起させるのでは無く、多くの物質がお互い特異的かつ非特異的に関与し、さらには多くの機能を備え様々な役割を演じていることが解りました。様々な役割とは、免疫関連、解毒、代謝、痛覚制御などの作用が確認されています。上述のデルタ睡眠誘発ペプチド(DSIP)の実験では、DSIP投与後、まずは抗侵害作用(鎮痛作用)が現れ、その作用消失後睡眠誘発作用が観察されました。このことは、眠気が起きるとDSIPが下位脳幹部に対して、まず痛み(外来刺激)を抑制することにより大脳を睡眠しやすい環境にもっていき、その後睡眠誘発作用を発現し、睡眠・覚醒のバランスを睡眠に傾けることが考えられます。つまり眠くなって意識がぼーっとして眠るのでは無く、まずは痛み(外来刺激)が取り除かれそのあと眠くなるということです。日中嫌なことがあっても、眠って翌朝目覚めた時は案外すっきりしているのはそのような睡眠物質の抗ストレス・解毒、鎮痛作用が働くためなんですね。良い睡眠は健康の秘訣です。


2015年01月30日



             
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