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丸吉優眠館 - 店長ブログ

“睡眠と夢”を読んで

DSC_0062今週読んだ本です。フランスの脳生理学者で、睡眠研究を世界的にリードしてきた研究者の一人ジュベ教授が著者です。ジュベは1953年に発見された睡眠中のレム運動(眠っているにも関わらず閉じた瞼の中では瞳が急速にめまぐるしく動いている現象)を基に、1959年に睡眠中のレム期の脳波が覚醒時と似通っていることを発見、この睡眠を逆説睡眠と名付けた方です。

今まで夢を一度も見たことはないという方はいらっしゃるでしょうか?ご安心ください、目が覚めた時に覚えていないだけで誰でも睡眠中は夢を見ているのです。では人間は夢を見るけど、犬や猫、鳥や魚、極端な話昆虫やバクテリアは夢を見るのでしょうか?答えは一概には言えませんが、昆虫やバクテリアなどの生物は脳波が記録できない為、そもそも“睡眠”が認められません。魚や両生類、爬虫類は脳波により客観的に睡眠は認められますが、逆説睡眠が認められないので、夢を見ているかどうか定かではありません。逆説睡眠が認められるのは恒温脊椎動物だけなのです。つまり哺乳類はもちろん鳥類も夢を見ていることになりますが、夢見の時間はその種の睡眠時間により様々です。人間は一晩で約100分(20分から25分を4~5回)夢見の時間を過ごしていますし、鶏や牛は約25分、飼い猫は200分も夢を見ています。(基本的に1日の睡眠時間が多いと夢見の時間も多くなり、身の危険性が少ない状況は夢見時間が優位に増加することが解っています。)

では進化の過程で、どうして恒温動物にだけ夢が現れるようになったのでしょうか?脳内の脳幹部に橋という部位があり、逆説睡眠中は橋からPGO刺激波が頻繁に発せれます。このPGO刺激波というのはP(橋)~G(視覚情報が伝達される時の中継点)~O(視覚野)の3か所を通る刺激波の頭文字を取った略です。つまりどうやら橋が発端となり視覚情報に何らかの影響を与える刺激が出されていることになり、このPGO波は他の脳の部位に様々なスパイク活動を促すことが認めらえています。しかしこのPGO波が、どのような具体的な刺激を、大脳をはじめとする脳の各部位に作用するかは現状わかっていません。

さて、では夢の役割とは一体何でしょうか?覚醒時の記憶の定着、不要情報の消去、精神的な思い入れや感情が現れる、はたまた未来を透視する予知夢、など科学的、精神的、神学的に様々な見解があり、学者の数だけ夢に関する理論や仮説が存在します。

最後にここではジュベ教授の仮説を記します。上記のPGO波が夢の解明を解くカギになるのではないかと考えられます。このPGO波が、覚醒時の体験及び経験に影響されるかどうか、つまり“生まれつき”か“育った環境”かということです。そして「人の性格は生まれつき」または「経験が人をつくる」ではなく、「人は夢によってコントロールされる」と考えられないかということです。私たちが互いに異なるのは反復して現れる夢のおかげで、夢は学習して獲得したものの一部を消去したり、反対に遺伝的プログラムと一致することがあればこれを強化したりするのです。恒温動物の神経細胞は誕生した段階から分裂し増えることはないのですから、肉体的な遺伝はDNAによって細胞をつくりながら特徴を維持していくことができても、脳にはそれができないのです。マウスを例にとれば攻撃的、臆病、学習能力の高い低いなどさまざまな個体差と多様性がありますが、この多様性こそがこれからどうなるかわからない予想不可能な進化の途上で選択されてきた遺伝的プログラムなのです。

「夢があらかじめ脳に刻み込んだものの中に大切なものがある、それは個体差。攻撃的、臆病、どちらも有用なもの。攻撃的だから外敵による危険をはねのけた、臆病だからとてもかなわない外敵に滅ぼされることなく逃げおおせて種が存続できた。そんな心理的な多様性を維持していくのに夢が必要なのだ」と。

上記を裏付ける事実があります。一卵性双生児が家庭の環境で生まれてすぐに引き離され、全く異なる環境で暮らした。成長後、実験のため二人が出会い夢の話をした。その時お互いがびっくりして言った。「どうして僕が良く見る怖い夢の内容を知っているんだい?」

まだまだ解明されていないので夢がありますね。


2015年03月06日



             
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