ページトップへ

丸吉優眠館 - 店長ブログ

“睡眠”を読んで

DSC_0007今週読んだ本です。睡眠の役割につては多くの学説があり、そのどれもが正しくまた相互に関係していてただ一つの役割を担っているわけではありません。大きく分けると、(1)回復説―生理学的、神経学的、心理学的なレベルで回復ないし修復に関与。(2)保護説―覚醒期の疲労から肉体及び精神を守り心身に不都合な変化を予防。(3)エネルギー保全説―活動を抑え、放熱を防止し、消耗を少なくする。(4)行動説―外的要因に対する適応行動としての反応。(5)本能説―本能行動としての反応、“本能行動(食欲、性欲)はそれを実現するためには危険が伴うが(昔は命を懸けて獲物を取り、すきを見せれば外的に襲われることがあるため)それが満たされると快感をもたらす。”の5つになります。そしてこれらが複雑に絡み合って睡眠の役割として認識されています。さらに生体の進化に同調して睡眠自体も進化しているので、問題はさらに複雑になります。多くの学者は一つの事象を基に研究を重ねるので、自らの研究が間違いないものとして考え他の考えを否定しがちです。それ故、ノンレム睡眠は重要だとか、レム睡眠は古い睡眠でそのうち不要になるとか、最も極端なのは睡眠自体が不要と唱える学者もいます。しかし、本能行動や生物時計による睡眠がある一方で、退屈なことや嫌なことにも眠気を伴いますし、逆に興味が興奮を引き起こすと眠気は飛びます。眠っている間は無意識な為、誰もがその間起こっている生体的、心理的変化を実感できませんし、さらに社会的な生産活動がほぼ無いため、眠りは空白の時間とみなされがちです。人は未経験の物に対しては良し悪しの判断がしにくく、軽視しがちな為、眠りは時間の浪費、さらには怠けと短絡されやすいです。しかし、生物時計の指令でリズムをもって分泌されるホルモンがたくさんあり、これらは睡眠のリズムと連動して分泌され体中の様々な機能に影響を与えます。日中の身体的、精神的な変化を元に戻したり、亢進させたりします。そうすると、眠るのは心理的には受動的な行動であっても、生理的には積極的に身体づくりをするための大切な機能だと考えられますので、睡眠は無駄と考えることはいささか短絡的すぎます。

大きく進化した大脳を休めるのがノンレム睡眠の主な役割の為、ノンレム睡眠こそが現代人にとって重要と考えられがちですが、深い眠りから覚醒に一気に行くにはことさら危険な為、レム睡眠を深い睡眠と覚醒との橋渡しに使うことで眠りは進化してきました。もちろんただの橋渡しでは無く、レム睡眠中の夢見は学習、体得の定着や逆に覚醒中の様々な情報の中の無用なものの消去を行っていると考えられています。レム断眠というレム睡眠だけを奪う実験を行うと、跳ね返り現象が起き、通常ノンレム睡眠から始まる眠りがレム睡眠から始まることもあり、レム睡眠の必要性を証明しています。ちなみにノンレム睡眠期でも夢は見ていますが、ストーリー性は無く整然かつ漠然とした夢のようです。もともと夢を見るとか夢を思い出すというのは大脳の機能ですが、大脳は除去してしまった状態でもレム睡眠は起こるので(レム睡眠を発現させるのは脳幹にある部位の為)、夢見とレム睡眠の役割は区別しないといけません。

先ほどのレム断眠による就寝直後のレム睡眠(この時、何かの拍子で覚醒することが金縛りといわれる状態)や、通常の覚醒への移行期などの睡眠と覚醒の境界にみられる精神活動には特異的なことがあり、創造活動や悟り、ひらめきなどの生産的な価値を伴う現象が認められています。そのような考えからすれば睡眠、覚醒のサイクル全体はいくら進化しても無駄ではなくなりますが、そのようなひらめきを求めて誰もが創造的な価値のある発想や悟りを得られるかというと、それもまた数は少ないことが現実です。1日9~10時間以上も睡眠をとっていたロングスリーパーのアインシュタインが、相対性理論を思いついたのもベッドの中だといわれていますが、常日頃の脳の使い方にもよるので誰もが思いつくわけではありません。でも一つくらい生産性のある発見や精神的な悟りのような体験はしてみたいですね。

 

 

 


2014年10月31日



             
丸吉オリジナルまくら ローズテクニー 丸吉オリジナル眠具

〒192-0053
八王子市八幡町11-1
TEL:042-625-1155
営業時間:10:00〜19:00
定休日:水曜日